哲学は答えのないものを様々な視点から考える学問
哲学科を選んだのは、1年次に受けた哲学の授業がとても面白かったこともありますが、哲学という大学ではじめて触れた未知なるものへの興味、また社会のことを思想の面から学ぶことで社会を表層的にとらえるのではなく本質的にみることができるようになるのではないかと思ったからです。
哲学科では、「好きなことを学ぶ」という自由さが心地よく、また既成概念にとらわれない友人たちに刺激をうけました。哲学科で学ぶなかで一番の財産になっていることは、困難なことへの取組み方です。「自由に学ぶ」ということは、自分自身で何を学びたいかを考えなければならず、また、哲学で扱うテキストやテーマは難解なものも多く、先生方や先輩方の意見や知恵を借りながら、難解なテキストに向かい、答えのないものをさまざまな視点、意見から考えるという経験は、今仕事をする上でとても役立っています。
使命感と誇りをもってできる仕事
国家公務員には、国会職員以外にも省庁や裁判所の職員などいろいろな職種がありますが、そのなかで国会職員を選んだのは、哲学科でさまざまな時代のさまざまな思想を学ぶなかで、多種多様な考えを持つ人がいてこそ本当の意味での「豊かな社会」といえるのではないかと思い、国会議員が議論をする場である国会に政治的に中立な立場で関わるということに魅力を感じたからです。
国会というのは、さまざまな利害や差異が存在する社会におけるルール作りの場でもあります。その過程で多様な価値観がぶつかる場面に関わることができ、それを肌で感じながらサポートできることは国会職員ならではの貴重な経験だと日々使命感を持って仕事をしています。
気づくことができる人間でありたい
国会の仕事は、日々流動的な政治情勢のなかで行います。書類作成一つとっても、今日必要だった書類が明日には必要ないものになってしまうことも多々あり、事情が変われば必要な仕事も変わってきます。日頃から、議員や上司、周りの人、そしてそれらを取り巻く状況を見て、この人はどんな時に何を必要とするのか?という視点を常に持ちながら仕事をすることがとても重要です。
聖心の卒業生でもある後輩と同じ部署で働く機会があり、彼女と接するなかで、「聖心スピリット」を感じる場面が何度もありました。人の話をよく聞き、何が求められているのかその先を考えて行動する。これはなかなか簡単にできることではありません。私は在学中にともに学ぶ友人たちからも同様なことを感じ取り、知らず知らずのうちに「聖心スピリット」が自分自身を支えていることに感動します。
仕事の内容は、表にでない地道な仕事が多いです。どんな業界、会社にも、表に出る仕事と裏方の仕事があると思います。実際に国会の裏方で働いていると、見えないけれど裏で土台を作る人や後ろから支える人がいかに重要なのか、ということを実感します。特に国会ではイレギュラーなことが往々にして起こるのですが、そんな時こそ、我々裏方の真価が発揮されるときであり、それらが良い方向に向き始めたとき、やりがいを強く感じます。それが仕事の醍醐味でもあるのです。
- 哲学科
衆議院事務局
国際部国際会議課
哲学科 2013年3月卒業
※記事内容は2021年11月時点のものです。